ホームページビルダーをはじめ、WordPressやWixなどのノーコード、ローコードでホームページが制作できるサービスが登場してからはHTMLなどのプログラムを書かなくても直感的にサイトを制作できるようになりました。そのため、制作会社に依頼せずとも社内メンバーで自社サイトを作れるのではないか、といった声もよく聞くようになりました。そこで今回は、ウェブの知識が少ない方でも本当に自社サイトを制作できるのか?を考えてみました。
結論:作れるのは作れるがお勧めはしない
いきなり結論からですが・・・、ホームページを立ち上げてインターネット上に公開することは出来ると思いますが、制作会社でしっかりと作られた競合サイトに勝ることは正直難しいと思います。また、大企業で情報システム部やウェブマーケティング部があり専門の人的リソースがある場合は、自社で制作するのも良いですが、中小企業の場合は正直オススメできるものではありません。制作会社のポジショントークなのでは?と思うかもしれませんが、様々な観点から推奨できません。以下に、その理由を述べていきます。
デザイン性に限界がある
まずは見た目的な問題から。WordPressなどのホームページ制作ツールは本当に便利なシステムで、サイトを構成するにあたって必要なパーツが標準でたくさん用意されています。見出し、段落、画像、ボタンなど様々なパーツがあります。それをドラッグ&ドロップしていくだけで、HTMLを書かなくてもサイトを作ることができます。これだけ聞くといかにも誰でも作れそうな感じが漂うのですが、実際にやってみるとそう上手くも行かないのが実情です。例えば、弊社HPLabのサイトから一つデザインを取ってきましょう。
これは、「ホームページ制作の流れ」を示した部分のデザインなのですが、ブロックエディタでこれをそっくりそのまま実現するのは至難の業です。
- 薄くて見えづらいですが黒文字の「FLOW」の後ろに、重なるように白文字の「FLOW」があります。
- 数字が書いたボタンは上下左右に色違いの数種類の影が付けられていて少し浮いたように見えます。
- スマホで見た時には、1~6のアイテムが縦に並びます。
これら全てを含めてデザインであり、些細なことですがそれの積み重ねによって、洗練されたデザインが出来上がります。こういった細かい部分のスタイル調整が、HTMLやCSSコーディングをしないブロックエディタだと限界があります。サイトデザインは訪れたユーザーの印象に最も影響する部分ですので、ここに限界があるというのはかなりマイナスポイントです。
セキュリティは大丈夫?
意外と気にされないのがセキュリティ面です。気にされないというより、「気にすることが出来ていない」というのが正しいかもしれません。WordPressは非常に便利なシステムですが、オープンソース(システムのソースコードが世界中に公開されていて誰でもアクセスできるもの)なので、セキュリティリスクが高いのも事実です。データが公開されているため、それに対するウイルス等の悪意のあるプログラムも作りやすいということです。
サイトを保護するプラグインを導入したり、適切にWordPressの設定をしたりすることで安全に運用することは出来ますが、それらが設定できていないと悪意のあるユーザーにサイトから機密情報を抜き出されたりすることもあります。WordPress自体も日々アップデートがされていますので、更新が出来ていないとサイトに脆弱性が含まれることもあります。こういったセキュリティの話は起こってからでは遅いもので取り換えしのつかない事態が発生する可能性があります。自社でサイト制作するということは、そういった点も自ら責任を持つ必要があるということです。
学習・実装コストがもったいない
筆者の経験上、自社で制作しようかなと思っている方の一番の理由は「予算」であることが多いです。ただ、予算の面から見ても自社で制作をお勧めしない理由があります。目には見えづらいですが、自社の制作担当者にも学習・実装コストはかかっているからです。例えば、1人の社員が1ヶ月かけて簡単なサイトを作ったとします。人件費で30万円のコストで済みました!ということになるでしょうか。
まず30万円の給与の従業員は管理費や社会保険料なども含めると50万円以上の人件費がかかっています。さらにまず初心者の方が0から勉強時間も含めて1ヶ月で作れるかどうかも非常に疑問です。弊社の新入社員でホームページ制作のしっかりした研修を受けたとしても1ヶ月では簡単なホームページすら作れません。また、簡単なホームページであれば、初心者の方が1ヶ月で作るホームページよりも品質の高いプロのホームページが30万円程度で導入できます。しっかりしたものであればもう少し予算が必要ですが、簡単なものであれば予算は抑えられます。
どの業界でも同じことですが、自社の社員に1からマッサージを学ばせてマッサージさせるより、マッサージ店にいった方が結果安く質の高いサービスが受けられます。ボールペンの作り方を1から学んで自分で作るより、ボールペンを買った方が安くて質の高いものが手に入ります。自社でホームページを制作するべきか再度費用対効果を慎重に考える必要があります。
担当者が辞めたら大変
これは弊社にサイトリニューアルをご依頼いただくお客様にも多いのですが、自社でホームページを制作していた場合に、自社のサイトの制作や管理をしていた従業員が退職した、または同様のケースとして、自社ではないにしても、個人のフリーランスに制作してもらったがその人が事業を辞めた、あるいは連絡がつかなくなったというケースが多くあります。この場合、サイトの更新やメンテナンスができなくなります。また、ホームページと同じところにメールのサーバをおいているケースもありますので、メールの管理はどうするのかといった声もよく聞きます。
さらに、非常に困ったという声をよくいただくのが、古いサイトを「削除さえできない」といった問題です。移転前の住所が記載されたサイトが残っていて取引先に迷惑をかけている、など古い情報が記載されたホームページがウェブ上に野ばなしにされてしまいます。管理していた人に連絡を取れなくなったため、そのサイトを消すことさえできなくなっているケースです。サイトをリニューアルして新しいサイトを制作しても、古いサイトも残り続けてしまいます。制作会社に依頼した場合、組織として管理しているので、担当者一人が辞めても問題はありません。そういった観点からも自社制作や個人への委託はリスクが高くオススメしません。
まとめ
以上をまとめると・・・、自社制作は、もしかすると辞めるかもしれない担当者に、時間とコストを割いて、デザイン性とセキュリティ性に不安があるサイトを作らせる、という話になります。
かなりネガティブな内容の記事になってしまいましたが、弊社にお問い合わせいただく中の、自主制作されたお客様で上記のようなご相談が多いのも事実です。弊社では、中小企業向けのサイト制作サービスを提供しておりますので、予算に応じたご提案も可能でございます。少しでも悩まれている方は、まずはお気軽にご相談くださいませ。